Barnard, Allan (ed)
THE HARLOT KILLER
1953年。ニュ−ヨ−ク、Dell Publishing刊。ペ−パ−バック。224頁。
世界初の切り裂きジャック小説＆実話アンソロジ−。トマス・バ−ク「オッタモ−ル氏の手」やロバ−ト・ブロック「切り裂きジャックはあなたの友」など、フィクション９編、ノンフィクション４編が収録されている。珍しいのはベロック・ロ−ンズ「下宿人」のオリジナル版。1911年に雑誌発表されたまま、40年以上も埋もれていた幻の作品で、ポケミス邦訳の原作はこれを長編化したもの。

Casper, Susan & Gardner Dozois eds
JACK THE RIPPER
1988年。ロンドン、Futura Publications 刊。ペーパーバック。384頁。
現代作家中心の切り裂きジャック小説アンソロジー。類書との重複が少なく、良心的な編集ぶりと言える。ソムトウ・スチャリトクルをはじめとして、日本でもおなじみの作家（の未訳作品）が多い。
【内容】Foreward by Robert Bloch (ロバート・ブロック)、Jack's Decline by Lucius Shepard (ルーシャス・シェパード)、Gentlemen of the Shade by Harry Turtledove (ハリイ・タートルダヴ)、Dead Air by Gregory Nicoll、Street of Dreams by John M. Ford (ジョン・Ｍ・フォード)、Yours Truly, Jack the Ripper by Robert Bloch(ロバート・ブロック。邦題/切り裂きジャックはあなたの友)、Anna and the Ripper of Siam by Somtow Sucharitkul (ソムトウ・スチャリトクル)、The Edge by Pat Cadigan (パット・キャディガン)、An Awareness of Angels by Karl Edward Wagner (カール・エドワード・ワグナー)、Old Red Shoes by Stephen Gallagher (スティーヴン・ギャラガー)、From Hell, Again by Gregory Frost、Spring-Fingered Jack by Susan Casper (スーザン・キャスパー)、The Sins of the Fathers by Scott Baker (スコット・ベイカー)、A Good Night's Work by Sarah Clemens、Knucklebones by Tim Sullivan (ティム・サリバン)、The Prowler in the City at the Edge of the World by Harlan Ellison (ハーラン・エリスン。邦題/世界の縁にたつ都市をさまよう者)、The Lodge of Jahbulon by Cooper McLaughlin、Game in the Pope's Head by Gene Wolfe (ジーン・ウルフ)、My Shadow is the Fog by Charles L. Grant (チャールズ・Ｌ・グラント)、Love In Vain by Lewis Shiner(ルイス・シャイナー)

Coville, Gary & Patrick Lucanio
JACK THE RIPPER: His Life and Crimes in Popular Entertainment
1999年。ノースカロライナ、McFarland & Co. 刊。上製本。193頁。挿絵＋目録＋書誌＋索引。
切り裂きジャック映画＆ＴＶドラマ（ドキュメンタリーを含む）の研究書。ラジオ番組やビデオゲームまでカバーした巻末の作品リストが便利だ。ロバート・ブロックの「切り裂きジャックはあなたの友」は1944年〜1945年に４回もラジオドラマ化され、ＣＢＳ放送作品には「謎の下宿人」のレアード・クリーガーが出演してるとか、いろいろ勉強になる。

Greenberg, Martin H. et al eds
RED JACK
1988年。ニューヨーク、DAW Books 刊。ペーパーバック。333頁。背シワ。
切り裂きジャック小説アンソロジー。８編中４編が JACK THE KNIFE  と重複、しかもエラリー・クイーンの長編で頁数を稼ぐなど、内容的にはあまり新味がない。切り裂きジャックなら何でもＯＫ、というコアなコレクターのみお薦め。
【内容】Somebody's Following You... by Frank D. McSherry, Jr. (序文)、The Prowler in the City at the Edge of the World by Harlan Ellison (ハーラン・エリスン。邦題/世界の縁にたつ都市をさまよう者)、Saggitarius by Ray Russell (レイ・ラッセル。邦題/血の伯爵夫人)、The Whitechapel Wantons by Vincent McConnor、A Study in Terror by Ellery Queen (エラリー・クイーン。邦題/恐怖の研究)、The Lodger by Marie Belloc Lowndes (ベロック・ローンズ「下宿人」中編版)、The Final Stone by William F. Nolan (ウィリアム・Ｆ・ノーラン。邦題/最後の石)、Jack's Little Friend by Ramsey Campbell (ラムジー・キャンベル)、Yours Truly, Jack the Ripper by Robert Bloch (ロバート・ブロック。邦題/切り裂きジャックはあなたの友)

Lowndes, Marie Belloc
THE LODGER
1928年〔５版〕。ロンドン、The Readers Library 刊。上製本＋カバー。251頁。カバー少破れ＋少破片欠＋少汚れ。本文黄ばみ。
ポケミス邦訳（ベロック・ローンズ「下宿人」）の原作。Scribner 版（1911年）、Methuen 版（1913年）、Tauchnitz 版（1913年）に次ぐ４番目の刊本。初版1927年。ヒッチコック映画の公開に合わせ、アイヴァー・ノヴェロとジューンのイラスト（あまり似てない）をカバー画に使用。ちなみにこのシーン、小説にはありません。

Parry, Michel ed
JACK THE KNIFE
1975年。ロンドン、Mayflower Books 刊。ペーパーバック。160頁。書誌。本体反り。
史上２番目の切り裂きジャック小説アンソロジー。先行の THE HARLOT KILLER と違ってフィクションのみで構成されている。ローンズ夫人とロバート・ブロックを除けば60〜70年代の作品が多い。
【内容】Introduction by Michel Parry (序文)、Forever Stand the Stones by Joseph Pumilia (ジョセフ・Ｆ・パミリア)、The Demon Spell by Hume Nisbet、The Lodger by Marie Belloc Lowndes (ベロック・ローンズ「下宿人」中編版)、In the Slaughteryard by Anonymous、A Kind of Madness by Anthony Boucher (アンソニー・バウチャー。邦題/気ちがいざた)、The Gatecrasher by R. Chetwynd-Hayes、My Father the Ripper by Philip Jose Farmer (フィリップ・ホセ・ファーマー)、Yours Truly, Jack the Ripper by Robert Bloch (ロバート・ブロック。邦題/切り裂きジャックはあなたの友)、Jack's Little Friend by Ramsey Campbell (ラムジー・キャンベル)、The Prowler in the City at the Edge of the World by Harlan Ellison (ハーラン・エリスン。邦題/世界の縁にたつ都市をさまよう者)

Pember, Ron & Denis de Marne
JACK THE RIPPER: A Musical Play
1976年。ロンドン、Samuel French 刊。並製本。52頁。背少傷＋表紙少汚れ。
1974年9月、ロンドンのアンバサダー劇場で上演された２幕のミュージカル Jack the Ripper のシナリオ。アニー・チャプマン、メアリ・ケリーなど主要登場人物はすべて実名のまま。モンターグ・ドルイットが犯人で、ミュージック・ホールの芸人という設定になっている。

Sharkey, Terence
JACK THE RIPPER: 100 Years of Investigation
1992年。ニューヨーク、Dorset Press 刊。上製本＋カバー。144頁。挿絵＋書誌＋索引。
事件発生100周年記念（初版は1987年、ロンドンの Ward Lock より刊行）を当て込んだ便乗出版物。概説的な本で、内容に新味なし。ジャック命、の筋金入りコレクター向け。

Shelden, Neal
ANNIE CHAPMAN: Jack the Ripper Victim
2001年。エセックス、私家版。小冊子。44頁。挿絵。
ついに出た！　切り裂きジャック第２の犠牲者、アニ−・チャップマンの小伝。コピ−用紙をホチキスで綴じただけの安っぽいパンフレットだが、遺族提供のウルトラ・レアな秘蔵フォトはマニア必見。なんとチャップマンの婚礼写真が載っている！　元気なときの彼女って初めて見た。棺桶の中でグッタリしてる（正確に言うと死んでいる）姿しか公開されてなかったもんな。面白いか？　と聞かれると返事に困る本。

Strachan, Ross
THE JACK THE RIPPER HANDBOOK
1999年。スコットランド、私家版。並製本。188頁。挿絵。著者署名入り。
世界の切り裂きジャック文献＆グッズをノンフィクション（単行本＆雑誌）、フィクション（単行本＆雑誌）、漫画、トレーディングカード、オーディオテープ、レコードなどのカテゴリーに分類。それぞれ詳細な書誌情報とコメントを付したカタログ。とにかく情報量がハンパではない。フィクションの単行本だけで、なんと266点（英文192点＋海外74点）もある！　研究家・コレクター（いるんです、切り裂きジャック蒐集家って）は絶対持ってた方がいい。

Woodhall, Edwin T.
JACK THE RIPPER: or When London Walked in Terror
1997年。チェシャ−、P& D Riley 刊。並製本。96頁。限定500部〔250番〕
先駆的な切り裂きジャック研究書のオフセット復刻版。オリジナル（1937年初版）は稀覯本で、おいそれとお目にかかれない。女性犯人説（ロシア移民オルガ・チェカ−ソフ）を採用しており、事件との関わりを疑問視されているマ−サ・タ−ナ−を被害者に含めるなど、恣意的な記述が目立つ。読物としては面白いが、内容的にはあまり信用できない。