部屋からの眺め

これは松澤さんがいつも眺めていた風景の写真です。
松澤さんの部屋(墨工房)からはバスターミナルを見下ろすことができました。

これからパソコンとデジカメでいろいろな試みがなされるはずでした。


 

部屋からの眺め

 

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松澤さんとパソコンのこと


怪美堂に『墨工房まつざわ』というコーナーを追加したのは2004年11月18日となっている。また2005年11月4日にプロフィールや仕事を追加している。ああ、もうそんなに年月が経っていたんだなあ。

松澤さんは、もう少しパソコンをわかってから自分で『墨工房まつざわ』のホームページを作ってみたいなあと話されていた。

書から商業デザインのほうへ仕事の範囲を広げ、いろんなことに戸惑ったり迷ったりといった話を電話や会った時に語ってくださった。
「私なんかまだまだだけど、これからがんばらなくっちゃと思ってるのよ」
彼女の口癖だった。

自分に足りない部分があるからと、カラーコーディネイトや古文書の講座に通って、何かを吸収しようと常に努力されていた。パソコンもその中のひとつだったのだろう。

私は松澤さんの仕事で役立ちそうだからとホームページやブログを始めることを薦めていた。

「いっぺんには無理だから、ゆっくり教えてね、パソコンのこと。ブログ〜、私が? う〜ん・・・。そのうちホームページ持てるようになったらいいなとは思うけど〜」

と最初の頃、松澤さんは尻込みをしていた。

「じゃあ、自分でホームページを作れるようになるまで怪美堂に間借りしておけば? 松澤さんが自分で作れるようになったら怪美堂からはずせばいいし」

と軽い気持ちで「墨工房まつざわ」を作り始めたのだった。


松澤さん的には墨がテーマであるが墨色ばかりにこだわりたくない感じだったので、和風なイメージの色を選んで少し動的な遊びを入れたページ作りをしてみたつもりだった。結構気に入ってくれていたと思う。だから、これからさらに作品は数を増し、変化していっただろうと思うと非常に残念でならない。

しばらくたった頃、WEBを通じて注文が来たりして、
「もう少しパソコンに慣れてから、ホームページ作ろうかな〜」
と松澤さんもパソコンにかなり意欲を見せ始めていた。
葉書に書いてあるようにフォトショップの扱い方も少し覚えたところだったらしい。
そろそろ本格的にホームページ作りに入ろうかと思っていた矢先、突然、松澤さんはいなくなってしまった。

まだいろんなことを教えていなかった。
本当にこれからだったのに。


2008年1月の末に「季節のカード」の新作が私のところに送られてきた。何回かメールのやり取りをして、2月に入り新作カードをようやくアップしたばかりだった。これは次回の個展の時にくばられるはずのものだったようだ。志なかばに倒れ、さぞかし無念であったろう。

松澤さんはパソコンにあかねちゃんと名前をつけて「あかねちゃん、よろしくね」と言って笑っていた。
そう、あの日からあかねちゃんはご主人の帰りをずーっと待っている。
そのうち誰かに引き取られることとは思うが、なんだか寂しい。



 
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