科学言説研究プロジェクト第2回公開研究会

〔発表〕  

『林 髞(木々高太郎):パブロフ学説の導入と頭のよくなる法』

溝口 元
(立正大学社会福祉学部教授)発生生物学・生物学史・心理学史

 

 科学者が「正統的に」科学界へ専門情報を伝達する場合と、「わかりやすく」科学的言説を社会へ発信する際では、どのような相違がみられるのか。その事例を大脳生理学者で推理小説家でもある林髞(1897〜1969)のパブロフ学説の日本への導入と彼の「頭のよくなる法」に関する通俗本から検討してみたい。

 

『昭和初年のフロイト・ブームについて』

曾根博義
(日本大学文理学部教授)日本近現代文学

 

 大正時代に主として『心理研究』や『変態心理』等の雑誌を中心に紹介されてきた精神分析は、昭和に入って本格的な翻訳と応用が行われ、春陽堂とアルスから2種のフロイト全集が刊行されることになる。時あたかもマルクス主義全盛の時代であり、フロイト対マルクスの問題が思想上、文学上の一つの重要なトピックとして浮上してくる。そのあたりの事情を文献によりながら確かめておきたい。

 

〔コメンテーター〕

住家正芳(工学院大学非常勤講師)宗教社会学

小松史生子(金城学院大学助教授)日本近現代文学

 

〔企画コーディネート・司会進行〕

一柳廣孝(横浜国立大学助教授)日本近代文学・文化史

林 真理(工学院大学助教授)科学史・科学論

吉田司雄(工学院大学助教授)日本近代文学・文化研究・映像論

 

日時 : 2006年2月19日(日曜) 午後2時〜5時30分

場所 : 工学院大学 新宿キャンパス27階2710共同セミナー室

      工学院大学 新宿キャンパス地図

 どなたでも参加できます。散会後、懇親会も予定しております。

 

 第1回の公開研究会でご発表いただいた奈良崎英穂さんが、「あせごの まん」の筆名でお書きになられた「余はいかにして服部ヒロシとなりしか」で、第12回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞されました。角川ホラー文庫から同名の表題で短編集が刊行中です。また、公開研究会での発表内容を基にした論文が、『ホラー・ジャパネスクの現在』(ナイトメア叢書、青弓社)に載っています。

 本研究会は日本学術振興会の科学研究費補助金交付課題「近代日本における科学言説の浸透と変容をめぐる文化研究」(研究課題番号16520111)の活動の一環として企画したものです。

【問い合わせ先】 工学院大学・共通課程 林真理 吉田司雄

 


〔講師紹介〕

溝口 元(みぞぐち はじめ)

立正大学社会福祉学部教授(発生生物学・生物学史・心理学史)

著書に『生命倫理と福祉社会』(アイ・ケイ・コーポレション)、編著に『通史・日本の心理学』(北大路書房)、共著に『生物学の歴史』(放送大学教育振興会)などがある。「生物科学」「心理学史・心理学論」「HistoriaScientiarum」編集委員。

 

曾根博義(そね ひろよし)

日本大学文理学部教授(日本近現代文学)。

著書に『伝記伊藤整−詩人の肖像』(六興出版)、編著に『鑑賞日本現代文学27 井上靖・福永武彦』(角川書店)などがある。復刻版『変態心理』、『『変態心理』と中村古峡』−大正文化への新視角』(不二出版)編集委員。日本近代文学会代表理事。

 

〔コメンテーター紹介〕

住家正芳(すみか まさよし)

工学院大学非常勤講師(宗教社会学)

共著に『〈宗教〉再考』(ぺりかん社)、論文に「宗教社会学理論における『市場』」(「宗教研究」346、2005)などがある。國學院大學COE研究員。

 

小松史生子(こまつ しょうこ)

金城学院大学助教授(日本近現代文学)

論文に「三遊亭円朝『欧州小説黄薔薇』論−翻案と〈通俗〉、クロロフォルムというモチーフから」(「文学」3-4、2002)、「江戸川乱歩『幽霊塔』論−翻案テクストのストラテジー」(「日本近代文学」65集、2001)などがある。

 

〔企画コーディネート〕

一柳廣孝(いちやなぎ ひろたか)

横浜国立大学助教授(日本近代文学・文化史)

著書に『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、編著に『「学校の怪談」はささやく』『心霊写真は語る』(青弓社)、共著に『日本妖怪学大全』(小学館)、『偏見というまなざし』(青弓社)、『ジブリの森へ』(森話社)などがある。

 

林 真理(はやし まこと)

工学院大学助教授(科学史・科学論)

著書に『操作される生命 科学的言説の政治学』(NTT出版)、共著に『生命科学の近現代史』(勁草書房)、論文に「脳死臓器移植問題の社会的側面−法「改正」論争の周りで」(「思想」973、2005)などがある。

 

吉田司雄(よしだ もりお)

工学院大学助教授(日本近代文学・文化研究・映像論)

編著に『探偵小説と日本近代』(青弓社)、共編著に『ディスクールの帝国−明治三○年代の文化研究』(新曜社)、『文学年報1 文学の闇/近代の「沈黙」』(世織書房)、共著に『妊娠するロボット−1920年代の科学と幻想』(春風社)などがある。 



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