科学言説研究プロジェクト第1回公開研究会
日本科学史学会生物学史分科会2月例会

近代日本において科学的言説がどのように浸透していったか、文学的言説とどのような関わりあいが持たれたかを考察する共同研究プロジェクトの一環として公開研究会を開催します。どなたでも参加可能です。文学や科学史に限定せず、複合領域的な議論の場を作ろうという試みですので、興味のありそうな方がお知り合いにおられましたら、ご案内いただければ有り難く存じます。

日時:2005年2月11日(金曜・祝日) 午後3時〜6時30分

場所:工学院大学 新宿校舎27階2710共同セミナー室

感染文学論−文学は科学の糧たり得るか
 奈良崎英穂(プール学院大学非常勤講師)日本近代文学

 明治以降の近現代文学は、様々な感染症を描いてきた。結核、ハンセン病、性病、そしてエイズ……。本発表では、主としてハンセン病とエイズ(及びそれをイメージさせる虚構の感染症)を描いたテクストに焦点を当て、それらの背後にある先端科学理論との関わりを探ってみたい。

進化論の成立と日本における受容
 松永俊男(桃山学院大学教授)生物学史・進化論史

 本発表では、ダーウィン以前の進化思想(たとえば『創造の自然史の痕跡』など)からダーウィンの進化論への移りゆき、さらに進化論の日本への移入について概説する。とくに、日本の生物学者がごく最近まで、「進化」を研究対象としてこなかった事情について述べる。

〔コメンテーター〕
谷口 薫(工学院大学非常勤講師)哲学・フランス近現代思想
慎 蒼健(東京理科大学専任講師)東アジア科学史

〔プロジェクトメンバー(企画コーディネート&司会進行)〕
一柳廣孝(横浜国立大学助教授)日本近代文学・文化史
林 真理(工学院大学助教授)科学史・科学論
吉田司雄(工学院大学助教授)日本近代文学・文化研究・映像論

工学院大学新宿校舎への行き方はこちらをご覧下さい。

散会後、懇親会を予定しておりますので、そちらにもぜひご参加下さい。

お問い合わせ先 工学院大学共通課程 林真理 吉田司雄


〔講師紹介〕  

奈良崎英穂(ならさき ひでほ)プール学院大学非常勤講師 日本近代文学
論文に「〈癩〉=遺伝説の誕生−進化論の移入と明治文学」(「日本近代文学」63、2000)、「〈癩〉という他者−北條民雄『間木老人』『いのちの初夜』論」(「昭和文学研究」37、1998)、「〈耽溺〉に病む文士−泡鳴『耽溺』と〈梅毒〉神話」(「城南国文」17、1996)。ほか泉鏡花、三島由紀夫に関する論文などがある。

松永俊男(まつなが としお)桃山学院大学教授 生物学史・進化論史
著書に『ダーウィンをめぐる人々』(朝日新聞社)、『近代進化論の成り立ち』(創元社)、『博物学の欲望−リンネと時代精神』(講談社現代新書)、『ダーウィンの時代−科学と宗教』(名古屋大学出版会)などがある。日本科学史学会生物学史分科会会長。

〔コメンテーター紹介〕  

谷口 薫(たにぐち かおる)工学院大学非常勤講師 哲学・フランス近現代思想
論文に「女性を<科学>的に語ること―ミシュレに見る19世紀フランスの女性の表象」(「上智大学哲学科紀要」30、2004)、「ベルクソン哲学における仮構機能について」(「哲学雑誌」117-789、2002)などがある。

慎 蒼健(しん ちゃんごん)東京理科大学専任講師 東アジア科学史
共著に『宗教と生命倫理(仮題)』(ナカニシヤ出版、近刊)、論文に「覇道に抗する王道としての医学−1930年代朝鮮における東西医学論争から」(「思想」905、1999)、「電気技術ネットワークの普及−実験室・劇場・生活空間」(『岩波講座 現代思想13−テクノロジーの思想』)などがある。

〔企画コーディネート〕  

一柳廣孝(いちやなぎ ひろたか)横浜国立大学助教授 日本近代文学・文化史
著書に『<こっくりさん>と<千里眼>』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、共著書に『心霊写真は語る』(青弓社)、『日本妖怪学大全』(小学館)、『『変態心理』と中村古峡』(不二出版)、『偏見というまなざし』(青弓社)、『ジブリの森へ』(森話社)などがある。

林 真理(はやし まこと)工学院大学助教授 科学史・科学論
著書に『操作される生命 科学的言説の政治学』(NTT出版)、共著に『生命科学の近現代史』(勁草書房)、論文に「「先端医療における「成功」とは何か:日本におけるADA欠損遺伝子治療を例として」(「科学技術社会論研究」vol.2、2003)などがある。

吉田司雄(よしだ もりお)工学院大学助教授 日本近代文学・文化研究・映像論
共著書に『妊娠するロボット−1920年代の科学と幻想』(春風社)、『探偵小説と日本近代』(青弓社)など、論文に「少年よ、「猿」から学べ−教育装置としての「少年世界」(『ディスクールの帝国−明治三〇年代の文化研究』新曜社)などがある。


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